おおさかコモンズ学習会「自治から広げる未来」レポート 7/18開催

活動報告
7月18日「自治から広げる未来」

7月18日「自治から広げる未来~おおさかコモンズmeetsミュニシパリズム」をテーマに、杉並区長に187票差で当選された岸本さとこさん。その選対本部長を務めた内田聖子さんをゲストに学習会を開催しました。岸本さんからは区長として実現したいこと。世界各地で起こっているミュニシパリズムやコモンズの理論や実践。内田さんからは、市民運動が盛り上げた杉並区長選の表裏を赤裸々に語ってくれました。

アーカイブでも配信中です。ご覧ください。

おおさかコモンズ04「自治から広げる未来」(20220718)
20220718のおおさかコモンズ学習会の動画です。ゲストスピーカーは、杉並区長の岸本さとこさん と 選対本部長を務めた内田聖子さん前半戦は、岸本さんによるミュニシパリズムの最前線の理論と実践。後半戦は、内田さんによる6月の約190票差で当選した選挙の表裏。濃密な2時間でした。当日、配信URLの変更の連絡が行き届...

【ゲスト】

岸本 さとこ さん (杉並区長)

内田 聖子 さん (岸本選対本部長)

【参加者】 35名(会場)

      約200名(オンライン)

【会 場】 大阪市中央区谷町2丁目3−1

ターネンビル2階

(以下、報告文)

「ミュニシパリズムの最前線」 岸本さとこさん

岸本さんは杉並区長になる前は、オランダのTNI(トランスナショナル研究所)の研究員。ミュニシパリズムの実践事例として「公共サービスの再公営化・民主化」について見識を蓄積されてきました。

新自由主義がもたらした公共サービスの民営化は、世界各地で起こりました。「公共財産の売却」「PFI」「アウトソーシング」など資本の理屈でコスト削減を推し進めるはずでした。しかし、ふたを開けてみると、「民営化の方がコスパが悪い」「長期的な投資控えによるサービスの質の低下」など、多くの課題が浮かび上がってきました。

この状況に対してミュニシパリズムの1つの共通戦略が「公共サービスの民営化にあらがう」ことと紹介されます。また、単純な脱民営化、再公営化ということに留まらず、公共サービスを民主化し、市民と共に新しいサービスを創造するところまで、足をふみだした都市もあるそうです。

ミュニシパリズムは各地の実践に理論が追い付かず、実験中という色合いが濃いようですが、共通項は「連帯・協同・市民権」「市民協同による政策立案」「共同統治」「国を恐れぬ自治体」など「地域の課題は地域で決める。住民参加で決める」ということのようでした。ラツィオ(イタリア)の空家を社会住宅に転換する政策や、パリ(フランス)の住民参加型予算など、随所に紹介された事例はなるほど。と思うものばかりでした。

こうした国際的な動きと連帯しながら、岸本さんは区長として「短期:すぐできるし、お金もいらない」「中期:すぐできるけど、お金がいる」「長期:合意形成の時間とお金がいる」と3つのタームに政策課題を区分しているそうです。これらの政策立案のプロセスを通じて、杉並区で新しいガバナンスのあり方を模索していこうとする熱い思いは、モニターを越えても伝わってきました。

「さっちゃん出たら?」内田 聖子 さん

選対本部長を務めた内田さんは、岸本さんを「さっちゃん」と呼びます。ベルギー在住の岸本さんに「いっそのこと、さっちゃん出たら?」と声をかけてから、岸本さんの選挙選がスタートした!?といっても過言ではなさそうです。

リベラル勢力の候補として当選した前区長でしたが、業者との癒着や開発優先の姿勢が見え隠れするようになっていました。草の根の民主主義を実現できる候補者を探そうと、市民活動や住民運動をしていたメンバーでネットワークを立ち上げ、まちの課題の見える化を図ったり、コツコツと活動を続けても、簡単に候補者は見つかりません。6月の区長選まであと3か月とリミットは迫っていました。そこで先ほどのセリフ。

いざ、立候補が決まってからも「杉並に住んでないやん?何も知らんやん?」という声はあったそうですが、「対話」を大切にみんなでつながりながら、活動を続けました。

とはいえ、政策論争をしたくても響かなかったり、朝7時の街宣などなど、市民活動の目線から見ると疑問や悶々とすることもあったそうです。そんな時は、対話を重ねながら、政策集「さとこビジョン」をアップデートしたり、ボランティア会議の提案から実現したひとり街宣を区内すべての駅で実践したり、市民主導の選挙のカタチを走りながらつくってきたそうです。

とはいえ、「野党共闘」があったから当選したといわれることも多く、選対本部長としては違和感があるそう。政党ありきではなく、地域に粘り強い市民運動があり、市民主導の選挙活動があったからこそ、野党共闘も追い風となり当選できた。という分析に納得。内田さんの「やさしい熱狂。楽しい運動。やかましくないムーブメント」という選挙総括がしっくりきました。

初登庁に自転車通勤を選んだ岸本さん。次の日には、区長専用の駐輪スペースができたそうで、これからのアクションにも期待です。

「質疑応答」

Q:「公とコミュニティ」の連携のあり方は?

「公」は自治体とわかりやすいのですが、「コミュニティ」が何なのかということは正解がない分野だと思います。課題別・地域別でいろいろな市民団体がありますし、誰が主導するのか?何をもって政策協議をおこなう正当性を持たせるのか?杉並区では住民自治基本条例もあるので、これを具体化するなかで、新しいガバナンスのあり方を模索していきたいと思います。

Q:「さとこビジョン」はどうやってできた?

システマチックというよりも、メンバーシップを大切に、対話を重ねながら政策をつくりました。杉並区で培われてきた市民運動の土台の上に、景気や成長よりも、「生活者」「消費者」「労働者」といった目線で、地域課題解決につながる政策づくりを目指しました。

Q:市民を巻き込む選挙の秘訣は?

政党主導の選挙運動は効率的ですが、市民とはつながりにくいです。市民運動は対等平等であることを前提に、自己完結できることも大切なので、あまり指示を出さないことでしょうか。オープン&ルーズを心掛けていました。ただ、選対が制御できないぐらい盛り上がると、市民活動は強いと実感しました。

Q:来年度の地方統一選に向けて

おおさかコモンズさんも志向されている「ゆるやかな関係性づくり」を通じた住民自治を養う土(空気感)づくりが大切だと思います。難しい課題ではなく、党派性も問わず、おしゃべりすることからはじめ、立候補したい人が出てきたら、みんなで「信じる」こと。そして、全国の仲間で連携しながら「希望のポリティクス」をつくっていきましょう。

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